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551 Driver

マグネチック方式最後のドライバー トーン・ポリシーは555に引き継がれている

 
ENGLISH
 
  Western Electric 551 Driver  
 
 

ウエスタン・エレクトリックのマグネチック方式最後を飾る業務用のドライバーである。一般に3Aホーンをつけて使用される。そのためオリジナルの音を聴くためには、3Aホーンが必要となる。3Aホーンで聴いたときに初めて真価が発揮される、というか549W/551は、この時代の専用ホーン群を使用することを前提に設計されている。551のトーンは、蓄音器のもつ絶妙のプレゼンスを彷彿させる。549Wも同じ音だが、551のほうがインピーダンスが高めで音量が大きく改良されている。日本には549Wの防水仕様がたくさん入っているが551は少ない。銘記と言われる蓄音器の音の世界に近いものがある。この551以降ウエスタンのドライバーは、有名な555に引き継がれるが、555ドライバーの音はこの551のトーン・ポリシーを受け継いでいる。すなわち血脈の音である。生、原音のプレゼンスを求めた蓄音器、それを目指した551、その血を受け継ぐ555ドライバーと世代が変わってもその求めるところは変わらない。技術革新という意味では、この551と555の間には飛躍的なものがある。そして近代ハイファイの原点であり到達点となるの594Aドライバーに引き継がれる。555と594Aの世界は全く異なるが、いずれもが到達点であり双璧である。蓄音器、551、555、594Aと聴いてみると人類の音楽芸術と音響技術の歴史的変遷と融合を理解できる。

 
 
551 Driverの鳴らしかた
 
  インピーダンスが非常に高いので、よく雑誌の試聴では、出力トランスを逆に接続して、一次側をこのドライバーに二次側の8オームをアンプ側につないでマッチングをとる記事が見受けられるが、これでは真価が発揮されない。出力トランスの一次側は、数キロオームに達しこのドライバーのインピーダンスとしては高すぎるし、さらに中間にトランスを入れるというのはまったくもって可哀相な話だ。  
 
551は、約500オームのインピーダンスとして扱い、真空管式の500オームの二次インピーダンスのトランスがついたアンプで鳴らさなければいけない。低い周波数をカットするために0.1u程度の品質のよいキャパシターを直列につないで使用する。魂に浸透するような音の世界が現出する。マヘリア・ジャクソンやバッハのパルティータを深夜に静かに鳴らす。こうなると蓄音器に近い世界で、555も594Aもタジタジである。もうHMV203を持ち出すしかない。SPの復刻をこのドライバーで架けるとそこらの蓄音器ではとても追いつかないものがある。
 
 
 
 
3/3/2005