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WE 124A のレストア(Lengevin108A)

WE124 のライセンス生産品のLV-108 をレストアする

 

Langevin 108A ( WE124 と同回路)のレストア

 
 

Langevin 108Aは、Western Electric社のライセンスを受けて生産品でWE124と同回路構成をとっています.1946年製造のもので,さすがに年代を経ており部品の劣化などもあり測定した特性は好ましくありません.しかしその音にはなかなかに惹きつけるものがあり,いつかなんとかしようと思いながらも2年以上も経過してしまいました.しかしこの間WE-124の回路図も入手でき,このLV-108の回路も調べて次第に明らかになってきたので,レストアをはじめました.妙なハム音が聞こえるので,まずそれから退治することにしました.下は作業中の様子.オシロの波形は,アウトプット・トランスのセンターに現れたリプルです.

 

 
レストアの難しさ
 
 

写真は,6L6のスクリーン・グリッドです.1と2は,それぞれ2台のアンプの比較です.このほかにそれぞれのアンプの随所に怪しいところがあります.完全に臓物をとり払ってしまって別の部品で組み上げてしまうのは容易なのですが,製造当初の意図した音のバランスになるかは不明です.よって劣化部品を追い込んで特定し,なるべく少ない部品の交換で,基本性能を確保しようということにしました.怪しいところを片っ端から交換してしまえば楽なのですが,そうするとバランスが狂う可能性があります.困ったものです.故障なら楽なのですが,劣化というものは実にさじ加減が難しいですね.下のオシロは,テクトロの314型というこれもビンテージのストレージ・オシロですが,根性なしなのでデジカメでパチリしました.

 
 
 
 

意外な音の激変と最低限の改造

 
 

普通は電解コンデンサが一番怪しいので,容量抜けとリークを調べてみましたが,おおむね我慢範囲内でした.測定データから見て怪しそうなものだけを2箇所変えて,ハムはおさまりました.さてこれからが問題です.全く問題ないはずのサンガモの円筒形のオイルコンが測定中にとろとろとオイルを流しはじめたのです.流すのは電流だけにして欲しかったのですが,これを交換しました.電気特性的にはまったくの正常部品です.交換したのは写真中央にタイラップでとりあえず固定している角型の同容量のオイルコンです.耐圧だけは1,500Vあります.音が激変して良くなりましたね.唖然としました.多分元々の音に近づきました.そんな変わり方です.レストアというのは,注意深くすすめなければいけませんね.動作点は結構ずれまくっていますが,これを設計当初に状態に持っていけば,かなり復元できるかもしれません.残留雑音などは,臓物ぜんぶ取り換えなければムリですから,劣化して抵抗値が狂ってきたものを修正して動作点に近づけていくくらいでしょうか.それにしてもこの位相反転回路は,理論的にはさることながら,全体の回路構成でバランスをとってみると聴感上はかなりいいものかも知れません.

 
 
 
 
12/29/2006