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真空管の測定とエージング

古い真空管は、使用前にエージングし、特性を測定しそろったものをペアリングする。

  古典真空管のエージング  
  古典真空管の製作された年代は、数十年前におよぶ。NOS(New Old Stock)という未用品状態のものでも、使用前には十分なエージングをしたほうが良い。これが長期間にわたる性能の持続と寿命の長期化に繋がる。もう二度と作られるものではないので大切に扱いたい。実際にエージングを実施してみると、一定時間エージングを行うと除々に電流値が変化して、やがて安定してくるのがわかる。エージング不足の状態で、アンプにくみ上げて調整しても時間とともに動作点はずれていく。数日間の回路動作的なエージングが終了しても実際にアンプで使用しながら、さらにエージングを続ける。まあ半年から1年くらいの間は、月に一度くらい動作をチェックしてやる。こうすると安定に動作するようになる。固定バイアス動作の場合は、とくにこのような配慮が欠かせない。  

エージング工程-真空管は生き物

 
  上の写真は、古典真空管のVT-25(NOS)をアンプに組み込む前にエージング、特性をチェックしているところ。私は、残念ながら正しいエージング方法を知らない。資料もなかなかにない。そのため自己流の方法で行っている。是非ご経験のある諸賢のご指導を戴きたい。  
 
まずは、ヒーターの電圧のみを規定の50%から70%を数時間から1日加える。続いて正確な規定電圧までヒーター電圧を上げて、さらの数時間から1日程度余熱を続ける。トリウム・タングステンの場合は、ヒーター電圧の管理を正確にしないといけない。5%以内、できれば1%くらいに追い込んでおきたい。その後は、まず高精度の可変型安定化電源の固定バイアスで、深いバイアスでプレート電流が流れない状態にしておき、徐々に+B電圧を加えていく。+B電圧は、写真右奥の450V300mAのセレンのブリッジ整流電源を使用する。この一次側100Vは、写真左奥の10Aのスライダックで電圧を可変する。
 
  VT-25の最大定格、動作点のグラフを見ながら、はじめはプレート電流が流れない領域にバイアスを設定し、100Vのプレート電圧を印加し、数時間から1日観察する。プレート電流は常に監視することにしている。続いてバイアスを深め、プレート電流が流れない領域で+Bを200Vに上げる。この作業を繰り返し、アンプで使用する予定の電圧の直前まで、+Bを上げていく。  
  続いて、プレート電流を流し始めるが、最初は250Vの1mA程度に設定して数時間、さらに250Vで5mAに上げて数時間、そして350Vで5mA、350mVで10mAと進んでいく。アンプで使用する最大時の動作条件は、420Vだが、当初の運転は380Vで1年くらい続けるので、この装置でのエージングの最大は、350V15mAまでとした。  
  経過を眺めて記録をとってみると、ある時間経過すると時間とともにプレート電流が増え始め、やがて一定するようになる。真空管は、(作業効率のため)2本をワン・セットでエージングする。当然2本の性格、特性は異なる。またさまざまな動作点で、エージングする過程で、耳をすまして真空管に耳を欹てると、共振やマイクロフォニックの発生する音が聴こえる場合がある。この場合は、記録にとどめておき、この動作点をさけて使用する。真空管は、まさに生き物である。この行程を通して特性の近い2本がペア取りされ、プシュプル・アンプに使用される。  
     
 
6/20/2005