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ザクセンウエルケ フィールドスピーカー

ザクセンヴェルケ (ザクセンウェルケ) ドイツ 励磁型スピーカー

  フェノリック・ダンパー (蝶ダンパー,ベークダンパー)  
 

皆さんが今日目にするスピーカーは,ほとんどが(というかすべてが)波型放射状のダンパーをコーンの保持用に採用しています.しかし中には糸による三点支持,ベークやフェノリックなどの弾性素材でコーンを支持するものもあります.写真のダンパーは,ザクセンウエルケのスピーカーに使用されている蝶ダンパー(超ではありません)とも呼ばれるベークやフェノリックを素材として使用したものです.古い時代のフィールド型のスピーカーにはよく見られるものです.RCAやALTECなどの古い製品にも見られます.またさらに時代を遡るとセンター・ダンパーという形式のものもあります.有名なウエスタン・エレクトリック社の超レア製品(WE595A)にもこのセンター・ダンパーがあります.ウエスタン・エレクトリック社の有名な励磁型スピーカーは,波型のダンパーを使用していますが,これはジェンセンのOEMであったためのようです.さて波型ダンパーと板状ダンパーのどちらが優れるかということですが,一概に断じるのは困難といえます.この古い時代にはスピーカーなどの音響分野は先端技術であったため,各社がさまざまな方式で特許を獲得しその方式で製品を製造していたからです.たとえ波型ロール式のダンパーの特性が優れていたとしても,当時の素材技術で経年変化や耐久性まで考慮した高性能のものができたのかは疑問です.当時はフェノリックの素材としての完成度は,かなり高い水準にあったと考えられますから,これを使用したダンパーというのは理解できますし,特許をクリアできる有用性もあるかと思います.問題は,このダンパーは共振点を持つことにあります.フェノリックの共振が音に微妙に現れるというものです.支持点がゆるんだり,一部が破損したり亀裂が生じた場合は音がびりつくことがあります.その場合は修理すれば直ります.私の私見ですが,このダンパー方式のスピーカーは,軽量コーンで高能率を実現した場合,過渡特性が良いような気がします.反面大振幅には適しないようです.この用途には,波型ロールのダンパーが有利ではないかと思っていますが,どうでしょうか?専門の方のご教示をお待ちします.

 
 
 
  放射状コルイゲーション  
 

さまざまなスピーカーを見てきましたが,リング状のコルゲーションを持ったスピーカーは非常にたくさんあります.しかしこのスピーカーのコーン紙には,放射状にこの構造が作られています.リング状のコルゲーションはたしかに固有の分割振動を軽減する効果を期待できますが,この放射状の構造は残念ながらよくわかりません.蜘蛛の巣のような形態になるので,WEB という意味では現代のネット社会に適応しているかもしれません(冗談です).

 

 

マッチング・トランスとフィールド・コイル

 
 

マッチング・トランスにも各種ありますが,最も多いのが,GR3688型で一次7Kと3Kになっています.フィールド・コイルにも何種類もあり,GR3839 (6W 60mA)は,100V 規格,GR3831(6W 75mA)は,80V規格で使用します.GR3777のほうは,90V65mA の規格だと思います.ボイスコイル・インピーダンスは4オームです.どのタイプの組み合わせにも云えることですが,フィールド電源の作り方でまったく音が変わってしまいます.まともな音にならないと思われる場合は,フィールド電源を疑ったほうが良いと思います.またさきのフィールド電源の規格はあくまで一般的なものであって,規格を大きく超えない範囲で変更してみると,スピーカーの磁気回路の特性が変わるため,音色や周波数特性その他が変わってきますので,自分の装置に合わせたセッティングが可能です.とても自由度の高いスピーカーと云えます.アンプを交換した以上に効果がありますので,フィールド電源には十分お金と労力を投入しても有り余るメリットがあります.当然ユニットよりも電源のコストがはるかに高くなりますが,それだけのことをやらねばこのユニットを活かしきるのは難しいでしょう.これはフィールド型のユニットに共通するものだと私は理解しています.一般的な電源では,とても道は遠く,ボケボケの音になりかねませんので,この手のスピーカーは一般的にはあまりお勧めできるものではありません.お金で解決できる筋合いのもとも少々異なりますので,手間閑を無尽蔵にかけても惜しくないという蝶(超?)マニア向けでしょうか?

 
 
 
 
このスピーカーは,実際はかなり難物です.微細な機械振動が随所に発生しています.これが音色を作ります.最悪はボイスコイル・ボビンが微妙にすれて特定周波数で共振して混変調を起こした場合です.これはフレームが微妙にゆがんでいる場合にも起きます.そのほかフレーム,蝶ダンパーも鳴きます.これらをきちんと聴きわけて調整します.このためにはきちんとしたフィールド電源が必要です.
 
 
12/07/2006