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HOBBY HP (A)
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ネットワーク用バリアブル・インダクタの製作

低抵抗の可変容量インダクタの製作の話

  設定がよく変わるネットワーク  

私の装置の設定は、じつに良く変わる。フィールド電源の設計をしなおすとスピーカーの磁気回路の特性が変わってしまうので、そのたびにネットワークの設定をしなおさなければならない。このネットワークというのが曲者で、とくにインダクタの容量変更には困ってしまう。そこで容量を可変にできるインダクタを製作することにした。ベースに使用するのは、37KVAの動力用の三相リアクトルである。コイルが三つあるので、直並列に接続を変えることで、DCRとインダクタンスをかなり自由に変えられる。コアの容量も電力用なので、非常に大きくDCRもきわめて低い。実験用には十二分の性能といえる。このインダクタは、鉄芯を利用しているので、中高域に使用する場合は、音にクセが出る可能性がある。私は、二百ヘルツ位の低い周波数帯で、ウーファー用に使用する。ウーファーの場合、いかに低いDCRかが効いてくるので、鉄芯コアでインダクタンスを稼ぎDCRを低くとる作戦だ。下の写真が、改造前の三相リアクトルを上から見たところだ。

 
 
  下の写真は、分解してEI?型のコアを外したところ。約1ミリのギャップが作られている。斜めに引き上げたI 型コアの下に白いギャップ調整用のセパレータが接着されて入っている。このギャップ設定では、一個あたりのリアクタ・コイルのインダクタンスは、1.4mHである。三個のコイルをシリーズにすると5.4mH(実測値)が得られる。今回は、このギャップ部分を鏡面研磨して、ギャップの調整で、インダクタンスを自由に変更しようという作戦である。  

接着剤を取り去り、コアの接触部を切削して切りそろえ、研磨してギャップの接合度を高めた状態。コアの積層面が光っているのがわかる。

 
 
  3つのコイルを直列に接続した状態で、I コアを載せインダクタンスを計測すると、8.78mHが得られた。さらに研磨して、上下から締め上げてギャップの間隔を狭めれば、さらにインダクタンスを上げることができる。  
 
 
  ためしにコアを真ん中まで移動させてみると、5.56mHとインダクタンスが減少する。  
 
 
  コアを抜いてしまった状態では、3つのコイルの直列状態でも2.28mHまでインダクタンスが減少する。まったくもって便利極まりないものが出来上がった。これでネットワーク定数を自由に変更できるわけだ。  
 
 
  下の写真は、RCAの最大級の劇場用ネットワークに使用されていた、ビンテージの巨大空芯コイル。このインダクタのDCR実測値は、最大の10.4mHポジションで、約0.9オームである。空芯の場合は、インダクタンスを稼ぐとどうしてもDCRが高くなってしまう。今回製作のものは、ほぼ同じインダクタンスを約1/5の低抵抗で実現できている。  
 

下の写真は特注品のインダクタで、トロイダル・コアに細いギャップを入れ平角銅線を立巻きに巻いた超低DCRのインダクタである。性能はいいが、インダクタンスの調整ができないのが残念である。

ということで、無いものはどんどん作ってしまうわけである。
 
 

 

 
 
5/12/2006