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ネットワーク

大袈裟なネットワークの設計の話

  594A/1444 ネットワーク  

メインシステム用のネットワークを変更した。594Aドライバーは、繊細な音の表現を余すことなく精緻に伝えるが、そのエネルギー感と音の速さは並みのものではない。あらゆるウーファーが追いつかないのである。ウーファーは当然フィールド型を使用するが、ウエスタン標準構成のTA-4181をもってしても歯がたたない。ネットワークの設計はどてもむずかしい。

  594Aはとても能率が高いので、ウーファーとのレベル合わせには困ってしまう。信号系統に何かを挿入するだけで音が変わってしまう。マルチ・チャンネルでドライブすればよいと思われる方もいらっしゃるが、そうするとまた仕掛けが大掛かりになり、追い込みはさらに厳しくなる。うまくやらないと肝心のプレゼンス(空気感とでもいいましょうか)が消しとんでしまう。  

今回は、真空管アンプのメリットを最大限に活かして、出力トランスの巻き線の2オームで594Aを、16オームで、ウーファーをドライブすることにした。RCA MI-1444は、インピーダンスが30オームなので、2本を並列に接続してさらに能率を稼いでいる。輻射面積から計算すると、18インチ(46センチ)を若干上回る規模である。

  配線は、アクロテックのS-1040を使用し、出力トランスからユニットまでの配線も最短で、30センチ、最長でも50センチと短くしてある。クロスオーバーは、カットオフが373Hz - 6dB/octである。インダクターは下の写真にある、RCA の劇場用のネットワーク用の巨大な空芯コイルXT-2299Bで、重量が、1台4.1キロある。インダクタンスは、実測値で、最小4.2mH、最大10.4mH間を何段階のタップで設定できるものだ。ノギスの先端の幅が示してあるが、巻き線部分の幅が14センチある。空芯コイルの場合、このクラスにならないと風のような低音、空気感の再現はむずかしい。  
 

以前は、このインダクタを使用して、(周波数補正実験1のとき)は、24Aホーンのカットオフ近くの220Hzと、かなり低いクロス・オーバーで使用していたが、装置をリスニング・ルーム202に移動したため、部屋の特性が大きく変わったので、ネットワークも含めて作り直した。このインダクタのDCR実測値は、10.4mHポジションで、約0.9オームである。さらに低いDCRのためには、下にあるトロイダル・コアを使用した、平角銅線を縦巻にした特注のインダクタを使用する手がある。この場合実測DCRは、0.1オームに下げられる。コアを使用した場合は、同じインダクタンスを得るのに、サイズを小さくでき、また抵抗値を低くできるメリットがあるが、コア独特の音の性格が出てしまうので、注意を要する。ちなみにこのトロイダル・コアではRコア系の材質が使用されているようで音が太く表現される。当方の大星夜級真空管アンプは、とにかく繊細、クリーン、音の速さをテーマにしているために音が優しく、かつ細く聴こえる傾向がある。このようなアンプでは、意図的にこのようなコア入りのインダクタを使って、音を太くしてやるという手もある。一般のアンプでは、ウエスタンのオリジナルも含めて、もともと音を太くするための回路的な工夫をしてある場合が多く、コア入りインダクタの使用は、音に色づけがされる場合もあるので、この点に留意しておく必要があるかも知れない。その点、空芯コイルは無難といえば無難である。

 

理想的には、6Nクラスの銅線で、空芯またはアモルファスとかファインメットとか純鉄のコアを使用してインダクタを巻くのがいいのかもしれないが、最近は特殊なコアや6N以上の銅線もなかなか入手できない。風のように軽く速い低音への道は、険しく遠い。

 
  さて、ご本尊のシテムのほうもクロス・オーバーが変更になり、周波数特性を測定し直したところ、220Hz付近にピークが発生していたので、回り込みを少しでも減らすために、とりあえずバッフルを変更した(7/20/2004)。以前の状態は、Room202の写真どおり、フロント・ショート・ホーンのスタイルをとっているが今回のシステム変更でも、594Aと1444の振動板の位置がまだ約70センチと大きくずれている。これは人間の位相差識別限界最小値の2倍以上である。将来は、振動版の位置を594Aに合わせた低音ボックスとホーン・ロードをかけた大型のバッフル方式で作り直す予定だ。まだまだ道は遠い。  
 
 

 

 
 
7/20/2004