. | 情熱のオーディオ TOP (A) |
/homepage/audio
|
HOBBY
HP (A)
|
スピーカーの磁石
フィールド型スピーカーの話
アルニコとフェライト | ||
アルニコ・マグネットがフェライト・マグネットより音が良いとマニアの中では通説になっている。私もアルニコ・マグネットのBHカーブが、他のいかなるマグネットより優れているということもあり、概ねそうに違いないと思っている。しかしながら、フェライト・マグネットを使用しても、シーメンスのコアキシャルのような、良くできたスピーカーもあるので、最終的には、スピーカー・ユニット全体の設計上のバランスのとり方だろうと思っている。 |
||
昔、ソニーからウォークマンが発売された時には、一聴して、サマリウム・コバルト・マグネットの音だと思った。その小さな本体には、何の仕掛けもない。ウォークマンの音の秘密は、あの小さなイヤー・スピーカーのマグネットなのである。今でもソニーのVaioに内臓されているスピーカーは音がいい。ここら辺をわきまえてモノを作っているソニーは流石である。 | ||
|
||
電磁石の優位性 | ||
スピーカーは、ボイス・コイルに電流を流し、可変磁場を作り磁石で作られた固定磁界に対して、コーン紙を振動させ、音波として疎密波を作り出す。この固定磁界は、この数十年間というもの永久磁石で作り出されている。何故永久磁石が使用されているのか。絶対性能が良いからではない。工業製品としてスピーカーを製造するのに手軽で、メンテナンスも必要でなく、コストも安く上がるからである。 |
||
実は性能的には、電磁石のほうがはるかに優位である。永久磁石は、実は永久ではない。長期間ボイス・コイルに交流信号が流されつづけることにより、減磁されていく。減磁が進むと高音が出にくくなり、反面、低音が出るようになる。音的には、弱い感じの音になっていく。永久磁石を背負った、スピーカーは、性能の劣化が進むのである。当然、コーン紙やエッジも経年変化が進む。
|
||
その点、電磁石を利用したフィールド型のスピーカーというのは、減磁が起こらない。磁気回路としても、エネルギーの変換効率の面でも、このフィールド型が優れている。よって、かなりのオーディオ・マニアが、このフィールド型のスピーカーの虜になっている。ウエスタン・エレクトリックやRCAなどの名器たちも多くは、このフィールドタイプである。 |
||
フィールド電源 | ||
実は、この電磁石を駆動するためのフィールド電源が難しい。いやむしろ楽しみといったほうがいいかも知れない、この電源により音が多様に変化するのである。電圧を上げて、磁界を強くすると音が力強く、通りがよくなり、電圧を下げると逆に作用する。電源のインピーダンスによっても音の素性が大きく変化する。ことは単純にインピーダンスが高い低いでどうなるという問題ではない、インピーダンスの質的な相違が音に変化として現れる。
|
||
フィールド電源は、固定磁界を構築する。家に例えるならば、基礎の部分である。ここがしっかりしないと家自体が傾いたり、揺れに弱くなったりする。家の総重量が大きくなれば、基礎もそれだけ堅固なものが必要になる。 | ||
フィールド電源を製作するときには、インピーダンスの質に注意しなければならない。永久磁石の項目で述べたが、ボイス・コイルに交流信号を流していくと、マグネットの減磁がすすむ。フィールドの場合は、音楽をかけた状態で、フィールド電源にシンクロ・スコープを繋いでみると、音楽信号がしっかりと乗っている。ボイスコイルの磁場の変化が、フィールド・コイルに逆起電力を発生させているのである。つまり、家の土台が揺さぶられているのである。この影響を防ぐためには、電源は定電流特性をもつのが望ましい。アイデアとしては、ボイス・コイルの交流電力をフィードバックさせて、逆起電力をキャンセルするようなフィールド電源回路も考えられなくはないが、間に磁界が介入するので、かなり難しいだろう。 |
||
電源製作のコツ |
||
トランジスタ回路による定電流電源は、音決めがとても難しい。一筋縄ではいかない。そのうち挑戦しようと思っているが、今のところは、大星夜アンプの電源回路と同じ考え方で作っている。まずなるべく高いAC電圧から整流する。最初は、チョーク・インプットで受ける。その後の段は、なるべく低い容量のコンデンサーで平滑する、あとは、可能な限り多くの段数のパイ型フィルターで、電圧を落としていく。最終段は、チョークか抵抗にする、キャパシターは、オイルやフィルムで、音のバランスをとる。ケミコンは、なるべく最小限にとどめる。回路は、掲示してもあまり意味がない。アンプの回路が毎週変わっているので、このバランスをとるためにフィルターの段数、Lやキャパシタの種類、容量、定数を変えているからだ。たった今、この原稿を書いているときのWE594Aの試作フィールド電源のLは、WE555のフィールド・コイルそのものである。コスト的には、タンガー電源を作ったほうが安く上がるかもしれない。 |
||
磁石に関しては、とても奥が深い。興味のある方は、是非下記のページを参照されたい。http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/Lecture/lectureindex.htm
|
||
1/1/2004
|
||