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クリプシュ・低音ホーン - ラ・スカラ ネットワーク改良

低音ホーンウーファーのインダクタを低抵抗のものに交換する

  大型電源トランスを応用する。  
  ネットワーク用のインダクタには、いつも悩むことが多い。コア入りにするか空芯にするかだ。またコア入りの場合には、素材と形状、ギャップの設計までさらに悩みが深い。空芯のほうが良いとは思うのだが、インダクタンスを確保するためには、とにかくたくさん巻かなければいけない。そうするとDCRが増えて、これが悪影響を及ぼす。液体窒素に入れてしまえば問題は解決できるのだが、そこまで大掛かりにやるくらいなら、他の部分に手を加えたほうが合理的である。鉄芯をコアにした場合は、音にクセが出るのは事実ではあろうが、空芯に比べると非常に大きなインダクタンスが得られる。換言すると、非常に低いDCRのインダクタを作れるということになる。すなわち、鉄芯の低いDCRの優位性と空芯コイルのクセの無さのどちらをとるかというトレード・オフの問題になる。実はラ・スカラのネットワークのコイルは、鉄芯コイルになっている。低音用のネットワーク・インダクタは、実測2.4mHである。しかしながらDCRの実測は、0.7オームもある。これは鉄芯を使用してあるのでかなり良好な値ではあるが、中高音のホーンに比べ、低音のもたつき感は否めない。そこで、かねてから用意の大型電源トランスを持ち出すが、これは一次100V、二次が15V規格で、30Aとれる大型のものだ。二次側のインダクタンスを実測すると、2.6mHで、DCRは、0.1オームと低い。バラして半ターンをほどくとちょうど2.4mHくらいになるのだろうが、このままで使用できる。オリジナルが0.7オームの鉄心だから、このトランスで、30倍のコア・ボリュームで1/7のDCRになれば、文句などあろうはずはない。  
 
 
 
絶大な効果
 

下の写真の右上が、ウーファーの直列に接続されているオリジナルの鉄芯インダクタ。手前の大型電源トランスが今回交換したもの。これにより今まで、ウーファーに直列に存在していた0.6オームの抵抗が消滅することになる。聴感上の差は、歴然とする。接続ケーブルを高価な低DCRのものに変更すると0.1オームあたり数万円もかかるが、これが一気に0.7オームから0,1オームに激変するわけだから凄い効果である。低音が軽く濁りが消えるというのは、あたりまえの予測の範囲内だが、中高音がまるで違ってしまう。今まで聴こえていなかった音が絢爛豪華に出現する。まるで大星夜アンプ効果そのものである。ウーファーを黙らせるとあるいは中高音への濁った干渉を減らすと音が澄みわたってくるのである。

 
 
 

コンポーネントとしての低音は、愕然と良くなり、このままでも劇的な改善になったが、よくきくとスピーカーシステム全体のバランスが若干崩れている。というか、よりレベルの高い、新しいバランス・ポイントに移行しなければならない。もともとホーンスコーカーとホーンツイータは、ウーファーに比べて遥かに性能的に優位なので、かなり音をネットワークで殺してあるから、これを少しだけ生き返らせてやればいい。低音に比べれば、もともと性能が出ているのではるかに楽な作業だ。バランス取りは、測定器と耳とパーツの定数決定と部品の選別で、物理と芸術の匠の世界に入っていく。仕上がりには、まあ2年はかかるだろうが、素性がよいものは、やはり素のままに使ってやったほうがよろしいようだ。キャパシタのパーツを何にするかが思案のしどころだ。

 
 
3/21/2006
 
     
  このラ・スカラは、JAZZ SPOTで新しい人生を歩むべく、嫁入りしました。これからも多くの人にその素晴らしい音を響かせ音楽の心を伝えるでありましょう。  
 
9/14/2006