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周波数特性補正実験 1

システムの周波数特性を実測しDSPで補正する実験

  WE594A ドライバ + 1444 デュアル・メインシステム  

拙宅に居座るメインの(実験?)装置は、Western Electric ドライバーユニットWE594A型を、594A専用に開発されたオリジナルの24Aホーンに装着したものだ。これに低音部をどのように付加していくかが課題である。音響エネルギー的には、594A+24Aに勝てるウーファーは、ホーンロードなしでは4181級の18インチの励磁ウーファーを4から3発。ホーンロードをかけても2発は必要となる。これをバッフルにつけると、もう体育館とか劇場で聴くしかない。これを東京の狭い個人の住宅で鳴らしてみようという魂胆がこの実験につながっている。

低音部は、WE555実験システムで使用したRCA MI-1444フィールド型38センチ・ウーファーを2発、後面を開放した板に取り付けただけのもので、低音は(測定データのように)回り込みのためにそれほど出ない。(音はかなり速い。)その状態でシステムの周波数特性を実測する。測定は、20Hzから20KHzまでのサイン波を連続スィープさせ、これをマイクで採音し、FFT処理しピーク・レベルを連続プロットした。ジェネーレータと増幅装置系の周波数特性は、ほぼフラットで、スピーカーの実特性にはほとんど影響しないはずだ。測定に使用のマイクロホンは、安価な(実はジャンクとしてたしか200円?で買ったオーディオ用の大型の物だが、PC用のオモチャのようなものではない。)ダイナミック型なので、周波数特性データが悪く出ているはずだが今回は周波数特性の補正の実験なので差分だけを見ればよいだろうと、いい加減を承知で実験してみる。なにせトライしてみることに意義がある。データがはっきりしていれば、あとでマイクの特性をとって補正すればいい。測定位置はホーン開口部下面から2メートルで、594Aと1444のクロスオーバーは、220Hz 6dB/Octである。下図グラフのレベル表示は音圧の表示ではなく、取り込んだラインのレベルをソフトウェアで処理した表示になっているので、相対的に見ていただきたい。

 
 

下の写真の真中の装置が、SH-D1000というDSP(テクニクスでは、PAPと呼んでいる)で、ディジタルで多機能な信号処理ができるものだ。今回は、ディジタルで21チャンネルのイコライジングをかけて低域を補正してみる。

 
 
 
  下の図は、PCの画面からの周波数の補正である。生の実測データを補正するようにイコライジングしてある。今回は実証実験のため、補正は正確ではないし、量もあまり多くない。今後、システムにあわせて調整していくことにする。  
 
 
 

下のグラフィックスの上のほうが、修正前のシステムの周波数特性測定で、下のほうが修正後の特性である。文明の利器を使用することにより、物量を投入しなければ解決できなかった低域の周波数特性問題にも解決の一途があることがわかる。

 
 
 
 
 
  実験の結果のコメント  
 

SH-D1000(値段が10万円)の内臓DAコンバータからメンン・アンプに繋いだので、音質は%$*!というレベルではあったが、このぶんを勘案して聴いてみても、CDの再生で音のバランスが格段に向上した。感心したのはこの補正により、レコーディング技師の音造りの意図が明瞭にわかることである。録音スタジオでは、なるほど理想に近い状態でモニタが鳴っているだろうから、このモニタを聴きながらミキシングして音造りをするわけである。再生側の周波数特性がその状態に近くなればなるほど音造りの意図が再現しやすくなるのは道理である。今迄、なんだか訳のわからなかったCDも、この補正で是非聴きなおしてみたいと思った。ひょっとすると我々は、すぐれた録音を色眼鏡をかけて聴いていたのかも知れない。

 
 

超高性能のADコンバータとDAコンバータを設計して信号処理は間に挟んだDSPに作業させる。メインアンプはスピーカーに合わせて追い込んでしまう。信号処理は全ディジタル工程ではアナログ的音質の劣化がない(はずだ)。音楽ソースもまるごとディジタルで巨大メモリーに入れておき、高精度のクロック同期で取り出しDA変換する。アナログも物理学的には物量が最終的にものをいう世界だが、ディジタルもやはり物量である。かくしてハイエンドのシステムは、エレガントな音を追求するためにエレファントになっていく。

 
 
3/28/2004