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WE594A 励磁電源 A

WE594 用フィールド電源の設計 タンガー最終型

 

タンガーバルブ式 最終版電源の製作そのA(10)

 
 

限界動作での設計

 

これまでの実験では、定電流特性を持たせた励磁電源回路では、おおもとの電圧が高くなれほどに整流素子による差が少なくなることがわかっています。これは理論的にもかなっています。この意味では、より高い電圧を整流できる素子で電圧降下の少ない素材が有利となります。ある程度以上に電源電圧が高くなると直列接続で耐圧を上げられるダイオードのほうが有利になってきます。電圧降下は大きいですが、整流板を直列接続できるセレン整流器もその点では同様です。反面タンガーバルブの場合は、直列に接続して高圧を整流することが困難ですから、おのずとその逆耐圧が限界となります。よってタンガーバルブの限界版を作ってしまおうというのが今回のプロジェクトになります。

 
  使用したタンガーバルブは、1本あたり15Aを整流できるゴルドスのG83型を使用し、逆耐圧破壊の限界に近い電圧を印加した両波整流方式を基本としています。当然1本だけを使用して半波整流にもできますし、アノードコモン、カソードコモンを切り替え使用できるようにもしてあります。AC電源は、商用の200V単層(センター接地)からノイズカットトランスを経由して100Vにダウンしてこの電源に使用してあります。上段中央のトランスは、2.5V 20Aが2回路の手巻きのヒーター用トランスです。  
 

箱の上にあるのは、セレン整流器でタンガーバルブ代わりに使用することができるようにもしてあります。整流後は、0.4Hのチョーク・インプットで右側に見えるツノつきのキャパシタは、フィルム型を使用してあります。この後に1.25Hと1Hのチョークを使用して最終的に24Vの励磁電圧を得ています。コンプレッション・ドライバー用なので今回は半導体による定電流回路は入れていません。

 
  さてその音の傾向はいかに  

ひとつ前の半導体式の励磁電源9号のほうが性能的には優れています。9号ではDC100Vをチョークの塊で24V迄落としていますのでから当たり前といえばそれまでです。今回は50V程度を24Vに落としていますからその差が出ています。しかしながら、さまざまな音楽のソースを聴いてみると、このタンガーバルブという素材の良さというものが良くわかります。9号の電源では、静まりかえった静寂の中から音楽のディティールを精緻に見事に再現する点では、すばらしいものがあります。しかし音がやや暗い感じになり躍動感が控えめになります。このタンガー電源の場合は、描写力は落ちますが、音が明るく華やかになり躍動感が勝ります。多分、余計なものが入っているのではないかと思いますが、それが聴感上はマイナスというよりはプラスに作用しているような気がします。音楽鑑賞用としては、十分納得のいくものだと思います。総重量では、9号のダイオード電源より軽く出来上がりましたので、この点でもメリットはあると思います。

  この電源は1.3A程度の電流に対して30A整流の素材を投入してありますので効果が出ています。一般的なタンガー電源で使用されている中型(6A)以下ののタンガーバルブも試してみましたが、理由は不明ですが、大型のほうが良い結果が出ています。困ったことにトランスやチョークの作りかたで結果が変わってくるので、この部分がノウハウになるでしょうね。これでいやらしいのは、良い性能を出すトランスの作り方というのではなく回路方式や他の部品にあわせ、カスタム的に作り方をかえる、巻き方を変えるというノウハウになるので、まあ料理の世界に通じるものがありますね。  
  良識のある方はこれ以上は、泥沼ですからやらないほうが懸命ですね。  
 
3/23/2009