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WE594A 励磁電源 3

WE594 用フィールド電源の設計 セレン版 3号

 

セレン整流器版のフィールド電源の製作その3

 

  大袈裟なフィールド電源  

正面右下の黒い箱の中が、今回製作したWestern Electric 594A 用のフィールド電源3号である。これ以前に同様の2号を含めシリコン整流のものも何通りも製作したが、スイッチング雑音の点で、セレン整流器が有利であった。箱に入る前におおよそ40から50とおりの回路を設計評価したが、おおむねこんなとろだろうというところ迄きたので箱に納めることにした。この箱は巨大な鉄製で、RCAの劇場用のネットワーク用のものだ。大きさが横460縦380深さ210ミリで、重量が3キロ以上はある。中に収納されているトランスの総重量は、おおよそ14キロに及ぶため、このくらいの強度が必要である。大げさなことが大好きな私には好都合である。巨大な24AホーンについたWE594Aドライバーの励磁回路を駆動するには、見た目にもバランスしている。左横(左下)は、EL34PPモノアンプのシャーシに組み立てたRCA MI-1444ウーファー用のフィールド電源である。

 
  セレン整流の不思議な回路構成  

トランスへのACは、ステップ・ダウン・トランス経由で90Vを供給している。よって二次側のAC出力端子の66Vは、実際には59.4Vである。セレン整流後は、コンデンサーインプットで、フィルム・コンデンサ91uとしている。その後は、巨大な4Hのチョークを使用している。この回路には24V 1.5Aの電流が流れるからいかにこのインダクタが大きいかが理解できる。その後は、3相フィルムコンデンサを特殊接続して160uFの容量を作っている。回路図上のC1,C2,C3の場所に実際はこの160uFが入っている。フィルム・コンデンサによるパイ型?フィルターを経由して最終段のチョークに入る。CH4,5,6のチョークは実際は、2.46Hのものに中間タップを出したものだ。製作時点では、680mHポジションで音決めをしたが、920mHのポジションに変更した。常套手段、設計セオリー、必殺技、ありとあらゆることを考慮しても実に不思議な回路で普通は理解に苦しむ。私自身も当初は、まさかこのような回路になるとは思いもよらなかった。セレン整流器の性質を知るにつれ、それに合わせた回路構成となった。このパイ型フィルターはあまり機能していない。残留リプルは結構多い。この回路は、キャパシタ容量を極限まで減らし、(しかもフィルムコンデンサしか使用していない。)その範囲で、極力電圧源から電流源に変えていくように調整してあると見ればよい。この文章を書いている時点では、C4は外してある。C5も入れたくないが、594Aの磁気回路の特性上挿入してある。この部分のキャパシタは、同じポリプロピレンフイルムでもメーカーやロットで音がまったく変わってしまうのでとてもシビアだ。ケミコンの使用は論外である。

箱の中を開けたところ。右側が594Aの電圧メーター。正面中央にあるのは、最終段のチョーク。左の電圧メーターはRCA MI-1444用のフィールド電源用、左上は同1444用のフィールド電源用の抵抗モジュール。トランジスタ、FETによる定電流回路の試作の試験が進行中であるが、この電源をリファレンスとして使用することにする。予算がつけばタンガーバルブも実験してみたい。
さすがにたいした発熱量で真空管アンプと併用すれば、冬期には暖房の代わりになる。
 
1/10/2005